3Dplaneのノウハウ
「ゴルフの幾何学」10.ワンレングスアイアン
ブライソン・デシャンボーは、全てのアイアンを同じ長さに揃えるワンレングスシステムを採用していますが、これには、多くのメリットがあります。デシャンボーのアイアンは、全て長さ37.5インチで、ライ角はすべて73度、ヘッド重量が280グラムとしてバランスも統一しています。ライ角を統一するとスイングプレーンを統一できますからCPシフトを全アイアンで同じにできます。しかも、ライ角73度とアップライトですから、アタックアングル-5度の場合のCPシフトによるクラブパスのずれ量は、僅か約1.5度とライ角60度のアイアンの約半分です。 また、普通のアイアンセットでは、4番アイアンとウェッジで長さが3インチ(約7.6cm)、ライ角が3度くらい違います。すると同じアタックアングル-5度とすると、4番アイアンとウェッジでクラブパスのずれ量が0.34度異なることになります。0.34度は、0.6%に相当しますから、150ヤードで約1ヤードのずれになります。このずれを問題とするかどうかは、目指すゴルフレベルによります。PGAましてやメジャーでの優勝を目指すレベルでは、このずれは無視できない大きさでしょう。 また、ドロー・フェードでピンを狙う時も、ライ角が同じだと、フェースを開閉した時のロフト変化が同じになります。しかも73度と非常にアップライトですから、ロフト変化も少なくなります。ライ角60度のアイアンの約半分しかロフトが変化しないのです。例えば、ライ角60度では、フェースを3度クローズにすると1度ロフトが立ちますが、ライ角73度ですと約0.5度です。すると飛距離に誤差も少なくなります。 また、長さやバランスが同じだとヘッドスピードやアタックアングルもコントロールし易くなります。普通のアイアンセットだと大きな番手では、長さが長くなりますので、同じスイングスピードでスイングしているつもりでも、ヘッドスピードが速くなります。ワンレングスアイアンですと、ヘッドスピードのコントロールがよりシンプルになり飛距離のコントロールがより容易になると思われます。 このようにワンレングスアイアンは、ストレートボールを打つのも、ボールを曲げてピンを狙う時もよりシンプルになるメリットがあります。PGAプロでは、2020年現在、デシャンボーしか採用していませんが、これからより多くのプロが採用するようになるでしょう。
最終更新日:2021-04-17 09:14:48